失った歯を、もっとも
「天然歯に近い形」で
インプラントは、人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に歯をつくる治療です。ブリッジや入れ歯のように隣の歯に余分な力をかけたり、削ったりせず、独立して機能します。その効果は噛みやすさだけではなく、10 年後・20 年後にどれだけ残りの歯を守れるかということに直結します。
私たちは、CT による 3D 診断、サージカルガイドを用いた手術、骨が足りない方への骨造成、そして術後の担当衛生士による管理までを、ひとつづきの治療として設計しています。
人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に歯をつくる治療です。1952 年、スウェーデンのブローネマルク博士が「チタンと骨が直接結合する」現象——オッセオインテグレーションと呼ばれます——を発見し、1965 年に最初の患者さんが治療されたことに始まり、以来、半世紀以上にわたる臨床データが積み重ねられてきた治療法です。
構造は、三つの部分から成り立ちます。

上部構造 — 噛むための歯の部分。多くはジルコニアでつくります。
アバットメント — フィクスチャと上部構造をつなぐ連結部です。
フィクスチャ — 顎の骨に埋め込む、チタン製の人工歯根。骨と直接結合します。
ブリッジや入れ歯と異なり、隣の歯に余分な力をかけず、また隣の歯を削らず、独立して機能する——これがインプラントの本質です。
歯を 1 本失ったとき、選択肢は大きく三つあります。
| インプラント | ブリッジ | 入れ歯 | |
|---|---|---|---|
| 隣の歯を | 不要 | 必要 | 必要 |
| 残っている歯 | なし | あり | あり |
| 噛む力(天然歯比) | 約 90–100% | 約 80–100% | 約 10–35% |
| 治療期間 | 4–12 ヶ月 | 2–4 週間 | 2–8 週間 |
| 健康保険 | 適用外 | 一部適用 | 一部適用 |
表一三つの選択肢の比較
「すぐつくれる」という意味で、ブリッジや入れ歯はたしかに簡便です。しかし 5 年・10 年と経ったとき、残っている歯や骨の状態を良好に保ちやすいのはインプラントです。以下に、インプラントの最大のメリットを三つ挙げます。
一度削った歯は、元に戻りません。ブリッジの支えにした健康な歯は、神経を失ったり再治療が必要になったりするリスクが高まり、その歯の寿命を縮める一因になります。

インプラントは、失った歯が本来受け止めるはずだった噛む力(荷重)を、インプラント自身が受け止めます。そのため、まわりの歯の負担を増やしません。
ブリッジでは、失った歯の荷重を、支えにした歯が分け合って受け止めます。支えの歯は、本来の自分の仕事に加えて、失った歯の荷重の一部を生涯にわたって支え続けることになり、その歯の寿命を縮めてしまいます。
部分入れ歯では、バネをかけた歯が、失った歯の荷重を支えるだけでなく、噛むたびに揺れ動く入れ歯を押しとどめる役目も担います。噛む力に加えて入れ歯の揺れも受け止め続けるため、その歯の寿命を大きく縮めてしまいます。
インプラントの噛む力は、研究では天然歯の約 9 割から同程度まで回復すると報告されています(個人差・部位差があります)。総入れ歯とくらべると、約 4〜9 倍の力で噛むことができ、食事の制限が大きく減ります。

すべての方に、インプラントが第一の選択になるわけではありません。
失敗率が約 2〜3 倍に上がります。最低でも術前 4 週間〜術後 8 週間の禁煙をお願いしています。

HbA1c が 8% を超える場合は、まず内科の主治医と連携し、コントロールを整えてから検討します。
骨粗しょう症などの治療薬です。とくに注射薬は顎骨壊死のリスクがあるため、内科主治医との慎重な連携が必須です。
インプラント周囲炎のリスクが高まるため(健常な方の約 3〜4 倍とする報告があります)、歯周治療を終えてから検討します。
マウスピースの併用と、上部構造の設計の工夫で対応しますが、リスクをご説明したうえで進めます。
年齢は目安です。顎の骨の成長が止まっていない方には、原則として行うことができません。
「向かない」場合は、そうお伝えします。ブリッジや部分入れ歯のほうが、長期的に望ましい場合もあります。患者さまの 10 年後・20 年後を見渡して、最善の選択をご提案します。
多くの症例は、インプラントの専門チームに 10 年以上所属し、数多くの難症例を経験してきた院長が担当します。
ただし、インプラントの手術とひと口にいっても、実際には細かな専門分野に分かれています。院長をはじめ、必要に応じて当院に招聘する、その他のさまざまなインプラント分野の専門家が担当して施術を行います。こうした連携体制によって、さまざまな症例に、当院の中で対応できるようにしています。
ふつうのレントゲンは平面の像で、神経や血管の位置を立体的に把握できません。歯科用 CT では、下顎管(神経の通り道)や上顎洞、血管の位置を立体的に、ミリ単位以下の精度で把握できます。骨のどこにインプラントを埋め込めるかを、手術の前に決めておくことができます。
CT のデータから、患者さま専用の手術用ガイドを 3D プリンタで製作します。手術ではこのガイドを口の中にセットし、事前に計画したとおりの位置・角度・深さで埋入します。フリーハンドでは難しい精度を実現し、手術時間も短くなります。

「骨が足りないからインプラントはできない」と言われた方も、骨造成(骨を増やす治療)を併用することで治療できる場合が多くあります。くわしくは「六、骨が足りないとき」でご説明します。
インプラントは「入れて終わり」ではありません。インプラント周囲炎の予防が、10 年・20 年の寿命を分けます。当院では担当衛生士制をとり、毎回同じ衛生士がお口の変化を把握しながら、お口の状態に合わせた間隔でメンテナンスを行います。
お口の中の診査と、お困りごとのヒアリング。概算の費用をご提示します。
CT・歯周検査・咬合検査、必要に応じて血液検査。治療計画書を書面でご提示します。
フィクスチャの埋入。
フィクスチャと骨が結合するのを待つ、オッセオインテグレーションの期間です。
アバットメントを連結し、上部構造の型を取ります。
噛み合わせをととのえて、装着します。
担当衛生士が、インプラントと口全体の健康を管理します。
下顎は治癒期間が短く(3〜4 ヶ月)、上顎は長めです(4〜6 ヶ月)。骨造成を先に単独で行い、骨が成熟するのを待ってから埋入する場合は、さらに 4〜6 ヶ月の待機期間が加わります。骨造成とインプラントの埋入を同時に行う場合は、この待機期間は加わりません。
歯を失ってから時間が経つと、その部分の顎の骨は吸収されて、薄く・低くなっていきます。とくに上顎の奥歯では、すぐ上に「上顎洞」という大きな空洞があり、骨が薄いままではフィクスチャを埋め込むことができません。
上顎洞が近く、骨の高さが足りません(点線は、埋め込めない長さのフィクスチャ)。
上顎洞の底の粘膜を持ち上げ、その下に骨補填材を入れて、高さを確保します。
上顎洞の底の粘膜をそっと持ち上げ、その下に骨補填材を入れます。骨の不足が軽い場合は歯ぐきの頂上側から器具を入れる方法(ソケットリフト)で、不足が大きい場合は側方に小さな窓をあけ、視野を確保しながら持ち上げる方法(サイナスリフト)で行います。

骨が足りない部分に膜(メンブレン)をかぶせ、その下に骨補填材を入れて、骨の再生をうながします。症例に応じて、自家骨・異種骨・合成骨を使い分けます。

抜歯と同時に行う、「骨を温存する」処置です。抜いたあとの骨の吸収を最小限に抑え、将来のインプラント治療を見越して骨の形を保ちます。
「骨が足りない」は、いまは、治療をあきらめる理由ではありません。10〜15 年前には難しいとされた症例も、現在の骨造成で多くが治療できるようになっています。まず CT で、実際の骨の量を評価することから始めます。
当院では、スイスのノーベルバイオケア社のインプラントを採用しています。
1952 年、スウェーデンのブローネマルク博士が、骨とチタンが強く結合する現象(オッセオインテグレーション)を発見し、1965 年に最初の患者さんを治療しました。これが現在のインプラント治療の出発点です。この研究を製品にするため、1981 年に生まれた会社が、いまのノーベルバイオケア社です。
材料費の高いインプラントではありますが、インプラント研究をリードしてきた会社であり、その性能と長期にわたる実績を重視して、採用しています。
下顎では神経の通り道(下顎管)に、上顎では上顎洞に近接して埋入する際のリスクです。長くしびれが残ったり、副鼻腔炎の原因になったりすることがあります。
当院の備え歯科用 CT・3D 設計ソフト・サージカルガイドにより、設計どおりの位置にインプラントを埋入し、神経や上顎洞との距離を確保します。
手術中・手術後の細菌感染です。
当院の備え完全個室の手術環境、国際基準に準拠した滅菌、専門のインプラントチームによる施術、そして抗菌薬の適切な投与管理で臨みます。
手術から数年〜十数年で起こる、インプラントのまわりの骨が炎症で失われていく病気です。5〜10 年の経過で、インプラントの約 10% に起こると報告されています(定義により幅があります)。口腔衛生が不良な方、喫煙される方、糖尿病のコントロールが不良な方で、起こりやすくなります。
当院の備え担当衛生士による定期メンテナンスと歯科医師の確認で、細かな変化も見逃さないようにしています。
本当にごくまれなケースではありますが、骨とインプラントが結合しない場合があります。
当院の備え万が一の場合は、施術部位の骨造成および再手術を無償で行います。
「インプラントは虫歯にならないから、一生もつ」というのは誤解です。インプラントを支える骨の状態は、さまざまな原因で悪化していくことがあります。天然の歯でいえば歯周病と呼ばれる状態で、インプラントでは、正確にはインプラント周囲炎と呼ばれます。インプラントは虫歯になりませんが、そのまわりの骨は人工物ではなく、ご自身の骨です。しっかりとした管理やメンテナンスができていないと、天然の歯と同じように、歯周病、つまりインプラント周囲炎を起こすことがあります。これが、インプラントにとって最大のリスクです。当院では、術後のメンテナンスもインプラント治療の一部と位置づけ、徹底して行っていきます。
| インプラント体の埋入手術 | ¥275,000 |
| アバットメント(連結の土台) | ¥55,000 |
| 上部構造(かぶせ物) | ¥165,000 |
| 合計(1 本あたり) | ¥495,000 |
表二1 本あたりの費用の内訳
骨の量が足りない場合は、骨造成の費用が別に加わります。どの処置が必要かは、事前にご提示いたします。
| GBR(小・辺縁部) | ¥33,000 |
| GBR(中・1 歯分) | ¥77,000 |
| GBR(大) | ¥165,000〜 |
| ソケットリフト | ¥66,000 |
| サイナスリフト | ¥220,000〜 |
| 鎮静 | ¥66,000〜 |
| 磁性アタッチメント | ¥55,000 |
表三症例により加わる費用
磁性アタッチメントは、インプラントを支えにして入れ歯を磁石で安定させる場合の連結部品です。
ご家族合計の年間の医療費が 10 万円を超える場合、確定申告で税金の一部が還付されます。
定期メンテナンスの継続が条件です。メンテナンスを中断された場合は保証が無効となりますので、ご了承ください。
手術中は局所麻酔(必要に応じて静脈内鎮静法)を用い、痛みを感じません。個人差が大きくありますが、術後数日は、腫れや痛みが出る場合があります。ただし、ほとんどの場合は、痛み止めのお薬で抑えられる範囲です(大規模な骨造成においては、強い痛みが出る場合があります)。
通常は半年ほどです。下顎で骨の量が良好な場合は最短 4 ヶ月、上顎で骨造成とインプラントの埋入を分けて行う場合は、12 ヶ月ほどかかることもあります。
10 年生存率は約 95%、20 年生存率は約 90% と報告されています。ただし、適切なメンテナンスを行うことによって生存率は上がります。歯を入れたあとにインプラントを失う主な原因はインプラント周囲炎で、定期的なメンテナンスによって起こりにくくし、早い段階で見つけて治療することができます。
チタンは磁石に引き寄せられない金属のため、MRI 検査は問題なく受けられます。インプラントの周囲で画像が一部ゆがむことはありますが、検査自体は可能です。
可能ですが、失敗率が 2〜3 倍に上がります。最低でも術前 4 週間〜術後 8 週間の禁煙をお願いしています。
HbA1c が 7% 以下にコントロールできていれば、健常な方とほぼ同等の成功率が期待できます。8% を超える場合は、内科の主治医と連携し、整えてから始めます。
妊娠中はインプラント手術を避け、時期をあらためてご相談します。
年齢の上限はありません。健康状態と骨の状態に問題がなければ、70 代・80 代の患者さまにも行っています。
骨造成を併用すれば、多くのケースで可能になります。CT を撮影してから判断しますので、一度ご相談ください。
まずは、ご相談から
インプラントに限らず、
月〜土 9:00–13:00 / 15:00–19:00 日祝 休診